HOME >回航記 > 「Vino Rosso1949沖縄へ」


「Vino Rosso1949沖縄へ」

 一ヶ月のクルージングを終えて帰着、自宅で就寝すること二晩、途中就寝から目覚めた際の「一過性場所認知症」から脱却できずにいる。長いクルージングの後の毎度のことである。そして、九州・沖縄の南の島々への航海は、島々の人々とその風景から、いつも新鮮なものを心の中に貰う。
 温かく迎えられる島々、人々の好奇心と人懐こい眼差しに、それまでの日常生活の中に余り感じることのない心根、初対面の人と人との原始的な受け入れ合える感情が湧き上がる。しかし、ある島々の風景に過ぎ去った夢のような日々の残渣と後世において決して遺跡となることがない永久構造物の多くを見るとき、戦後置かれた島の一時の繁栄と今のこの島の哀しみが見て取れる。また、地理的距離による人々の心の中の「潜むバリヤー」をそれとなく思わせる島々、にもかかわらず、過酷な自然の中で日々の生活を送り、「Iターン・Uターン」で世代を継いでおられるその心中の「やさしさ」が、出会う「元気で素朴な子供たち」を通して見られる。
 7年前、初めてクルージングで訪れて以来、変わらない風景があり、幅広いサンゴのリーフは美しい。そしてリーフの向こうに北上する2 頭のクジラが眺められた。 それでも寂しさが一段と進んだ島々を感じられたが、なおそこにはその寂しさを乗り越え、そこからの脱却を試み、努力を続ける尊敬すべき多くの人々に逢えた。
 LED 照明に明るく照らされ今の時代を反映する華やかさとともに哀しみを帯びた華やかな島も見た。これらの島には多くの外国人観光客が訪れていた。この国・この島の習慣と相容れないそれらの人達の振る舞いに戸惑いを覚える。この外国人観光客来訪のブームの後に来る風景が嘗てのブームに沸き、今はその残渣が残る島々の風景と重なる。
 船旅は、旧友と再び心を温め合い、新しい友に出会い、心の襞に触れ合うことが新鮮でうれしい。そして「励まし」もいただく。

艇名:Vino Rosso 1949 (ババリア40)
艇長・白石修一郎、乗組員・井手卓、吉川勲(文責)
4 月12 日:HTB マリーナ出航
4 月25 日:沖縄・宜野湾マリーナ入港
5 月11 日:HTB マリーナ帰港
追記(運行管理責任者 白石 修一郎)
出航 4月12日AM10:30 HTBマリーナ

寄港地 (往路)
長崎伊王島・阿久根港・笠沙恵比寿港・薩摩硫黄島・十島村中之島港
奄美大島名瀬港・沖永良部島知名港・与論島茶花港・沖縄宜野湾マリーナ
(復路)
伊平屋島前泊港・沖永良部島知名港・徳之島松原港・加計呂麻島生間港
奄美大島名瀬港・口永良部島・山川港・笠沙恵比寿港・阿久根港
長崎伊王島
5月11日AM10:30 HTBマリーナ帰港

*風向は悪く波高は高い、晴れ間も少く肌寒い、そんな天候が多かった のですが、色々な出会いと楽しい想い出がいっぱいのクルーズでした。
また行こう、きっと行こう。



HUIS TEN BOSCH YACHT CLUB
 〒859-3243 長崎県佐世保市ハウステンボス町1-1

〈事務局〉
  〒857-0801 長崎県佐世保市祇園町8-16
   事務局長 千田 尚
   TEL:080-8136-1000  FAX:0956-37-9919
htbyc2020@htbyc.jp